6月の誕生石、ムーンストーン – 月の光から生まれた宝石

古代ローマ人に見初められ、アール・ヌーヴォー期に花開いた宝石、ムーンストーン


6月の誕生石は3つあります。その1つがムーンストーンですが、ファンが多いパールやアレキサンドライトに押されて、誕生石としてはあまりスポットライトがあたりません。

リング。オレンジムーンストーン・パール・メレダイヤモンド。(オーレ・リンガード・コペンハーゲン/Ole Lyngaard Copenhagen)

ドングリシェイプのムーンストーンが可愛いネックレス。Dancing in the Rain(ナニス/Nanis)

古今東西、ロイヤルジュエリーに用いられる宝石はダイヤモンド、パール、エメラルド、ルビー、サファイアといった貴石です。それらの強い存在感のある宝石と比較されると、ぼんやりした半透明な輝きを放つムーンストーンは、出番が少なくなります。
まして、ハイジュエリーにはなかなか採用してもらえません。

しかし、古代ローマ人の目には、ムーンストーンから溢れ出る月の光のような不思議な輝きは魅力的に映りました。この時代、ムーンストーンは月の光が集まってできたものと信じられ、月の女神ディアーナにたとえられました。そして16世紀まで、ムーンストーンは月の満ち欠けによって姿を変えると思われていたのです。

ムーンストーンが最も日の目を見たのは、1895年頃から1910年代、ヨーロッパを中心に大流行したアール・ヌーヴォーという装飾美術がわき起こった時です。短い期間でしたが、この美術様式は忘れ去れることなく、現代でもレプリカが作られ、影響を受けるアーティストが大勢います。当時の社会は、その後まもなく世界を巻き込んだ2つの大戦の前の安定した時代でした。フランスではベル・エポック(良き時代)と呼び、パリでは華やかな文化が生まれました。1887年パリで世界初のデパート、ボン・マルシェが開店し、地下鉄が開通、分割払いの制度が考案されるなど、現代の生活様式の基本が出来上がりました。

一般の人がジュエリーを身につける機会も増え、いろいろな種類の宝石が用いられるようになります。アール・ヌーヴォーの寵児と讃えられたガラス工芸家でジュエリーデザイナーのルネ・ラリックは、奇想天外なジュエリーデザインにムーンストーンをあしらいました。ティファニー創業家2代目のルイス・コンフォート・ティファニーもアール・ヌーヴォーの作品を作り、ムーンストーンを用いています。

ムーンストーンは、宝石学では長石(ちょうせき)グループに属します。色は半透明な白、グレー、ブルー、さらにオレンジやイエローもあります。人気があるのは青みを帯びた光を放つ白系です。

リング。グレイゴールド・ムーンストーン。(ベルペロン/Belperron)

バングル。K18イエローゴールド・ムーンストーン。(アナマリア・カミッリ/Anna Maria Camilli)

リング。K18イエローゴールド・ムーンストーン・ダイヤモンド。(G.ミルワルド/G. MIRWALD)


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